ポイント
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1ノーコードツールでアプリを作成し、DXを内製化
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2協力業者の電子化もサポートし、事務作業の負担を大幅に削減
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3社内ポータルサイトを作成し、業務の見える化・効率化を図る
社内プロジェクトを立ち上げ担当社員を中心にDX化を推進
昨今、残業の少ない労働環境が求められる中で、永森幹朗社長は「限られた時間の中でもお客様との対話の時間は増やし、いい家を造っていきたい」という思いを持っていました。そこで事務作業の効率化を目指し、2020年末に事務作業の改善に意欲的だった経営企画課の中嶋宏美さん他1名をDX推進担当とし、クラウド型基幹システムの導入に伴うDX推進プロジェクトを発足しました。
当時はExcelのファイルやアプリが点在しており、データがうまく連動していないという課題がありました。そのため「一つの箱に情報をすべて集め、財産として残せるデータを蓄積し、全社員が共有できる形にする」という目標を掲げ、簡単かつ低コストで導入・運用ができるシステムを検討しました。
プログラムの知識がなくても使えるツールを活用し、システムの機能性を向上
同社の基幹システムはパッケージソフトを利用していますが、カスタマイズには限界があるため、必要なアプリを内製化する方法を選択。これまでExcelからデータを取り出して加工していた集計などの作業はRPAで自動化し、基幹システムやBIツールに反映させる仕組みを作りました。また、オンプレミス型の古いワークフローシステムも見直し、社員が目的のアプリや情報にワンストップでアクセスできる社内ポータルサイトを設置することにしました。
こちらは2024年3月に稼働を予定しており、売上や原価などのデータの他、社員の出退勤や会議室の予約状況などが共有でき、事務処理からスケジュール管理、通知・連絡などのコミュニケーションが一元的に行えるようになります。サイト構築や追加のアプリ制作はGoogleが新たに提供を始めたノーコードツール「AppSheet」を利用しています。ノーコードツールとは、プログラミングに必要なソースコードを使わずにアプリやWebサイトなどを簡単に開発できるツールで、中嶋さんはこれまでに5つのアプリを制作。「設定画面から必要な機能を選んでカスタマイズしていくだけなので、思っていたよりも簡単に作れました」と振り返ります。
協力業者の電子化まで手厚くサポート
同社は発注・支払業務を効率化するアプリを協力会社にも導入、協力会社を含めた電子化に取り組みました。インボイス制度の開始を機に協力会社に呼びかけ、丁寧に導入サポートを行いながら、すべての協力会社との電子取引を実現。発注書の金額修正や請求がアプリ上で行えるため、現場ごとの原価管理が可視化され、状況が把握しやすくなりました。事務の面でも毎月約300枚の請求書の処理にかかる時間が半分以下になった他、電子契約書の導入や書類の複写が必要な点検シートや打ち合わせ資料をペーパーレス化したことで、紙の使用量も削減できました。
同社ではDXの内製化に手応えをつかめたことから、中嶋さんを通して社内にノウハウを落とし込み、いずれは各部署の担当者がアプリを開発する体制を作っていきたいと意欲を見せています。
今後の展望
業務の効率化は、事業が拡大する中で避けては通れない課題のひとつだったこともあり、「事業が順調な時こそ変化していきたい」という思いでDXプロジェクトを立ち上げました。仕事をしやすい仕組みを現場の社員が自分たちで作れる環境が一番なので、DX推進担当の2人はよく頑張ってくれたと感謝しています。今回のDXによって、蓄積されるノウハウやデータが宝となり、次の時代を背負う社員の力になることを期待しています。また、データはお客様のフォローや情報発信への活用もできるため、よりよいサービスの提供に役立て、弊社の強みにしていきたいと考えています。(取材者:代表取締役社長 永森幹朗氏)
取り組みにかかったコスト
コスト | 60万円(人材教育費用)、各種システムライセンス料約50万円/月 |
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相談先
相談先 | ふくい産業支援センター、IT導入補助金、経済産業省 人材開発助成金を活用 |
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会社概要
社名 | エーシングループ 永森建設株式会社 |
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代表者 | 永森幹朗 |
所在地 | 本社/福井市上北野1-7-7 |
従業員数 | 136名 |
取扱品目 | 注文住宅の設計・施工・監理、リフォーム業、不動産業など |