デジタル化の第一歩は現場の見える化から
DXへの取組みの第一歩となったのは、IoTによる現場データの収集です。当初は作業指示に添付したICカードを読み取り、クラウド上の業務管理サービス「kintone」のサーバーにデータを集め、原価管理に着手しました。その後、ICカード読み取りからタブレット端末へのタッチ入力としたり、スマートフォン入力に変えたりと試行錯誤を繰り返しながら、現在使用している生産管理システムの導入に至りました。
この間、社内デジタル化のステップアップをするにあたっては、社員を巻き込みながら社員の自発的な活動を促すことで、社員が自分事として考える社内風土作りを行ってきました。
DXを実現するためのプロセスとして、いろいろな変革を伴いながらデジタル化を推進し、一歩一歩階段を登るごとく取組みを進めていくことでDXが実現することを実証しています。
現場の見える化はバーコード入力と大型ディスプレイによる共有へ
経営をサポートする主なデジタル環境は、2022年12月に稼働した生産管理システムです。このシステムにより、受注から作業指示、原価管理までデータが連携され、事務作業の効率化が図られ、データ分析により粗利金額の見える化が実現できるようになりました。
現場には大きなディスプレイとバーコード読み取りのスキャナーが設置され、簡単にデータの入力が出来るように工夫されています。各現場単位での粗利金額の確認や出先での納期回答などを可能にするために、クラウドストレージも導入しています。また、社員間のコミュニケーションツールとしてSlackを活用しています。
5年前に導入した3Dレーザースキャナーにより、設計や現地採寸作業の大幅な業務改善も進めています。
社長のもとに全ての必要なデータが集まるコクピット化へ
社内のDX推進体制は、社長をトップとして各部門(製造、管理、総務)が関わり、基幹システムである生産管理システムの担当部分は自分に聞いてくれ、というまでに社員は積極的に関わるようになってきました。
明らかに社員の意識は変わり、仕事の結果に自分事として関心を持ち、いかにして業務を効率化するかという意識が芽生えてきているようです。社長の経営方針「収益を上げ、社員の給料を高くしたい」が全社員に浸透しているからだと思われます。
今後の計画について社長は、「現場のことはなるべく現場に任せ、私は社長としてやるべきことに専念したい。もっとデジタル化を進め、私の机上を経営上必要なデータが俯瞰的に見える『コクピット』にしたい」とのことでした。
ITコーディネータから一言
DXを推進し成果を出している企業の条件が揃っている事例です。
まず一番重要なことは、しっかりした経営ビジョンを持ち、それに向かって弛まぬ努力をしている社長の存在です。社長は前向きに積極的にいろいろな勉強会に参加し、経営者としての資質の向上に取り組んでいます。
次に重要なことは、経営者と社員がベクトルを一つにしていることです。当社の社員は、経営者として努力している社長の姿に信頼を置き、社長に付いていく姿勢がありました。そのせいか、活き活きと働く元気な社員がたくさんいました。
お話をお伺いした方
かかった経費(予算)
コスト | 約800万円 |
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会社概要
事業所名 | 株式会社長田工業所 |
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所在地 | 福井県坂井市春江町西長田41-1-1 |
代表者 | 小林輝之 |
従業員数 | 18名 |
業種(中分類) | 設備工事業 |
事業内容 | 設備構造物・建築金物工事・製罐一般 |