ポイント
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1注文取りの効率化とコミュニケーションが両立したサービス
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2タッチパネルに比べて導入コストを大幅に抑えられる
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3自社の店舗では週末のピーク時に約20%の人員削減を実現
従来の注文の取り方を変えずに接客のみスマートフォン越しに。
嶺南地区を拠点に飲食店4店舗を運営する同社では、かねてから人手不足問題に直面していました。特に悩んでいたのが、注文を取りに厨房と客席を往復する手間です。混雑時は頻繁に厨房を離れなくてはならないため他の作業が遅れ、それをマンパワーで補っている状態でした。「対策としてタッチパネルを考えたものの、コストが高額で高齢者には使いづらく、お客様とのコミュニケーションを重視する総合エンタメ企業という自社のスタンスにも合わなかった」と語る中西氏。非接触でもお互いの顔を見て会話ができる方法はないかと考え、ドライブスルーの注文方式にヒントを得た「店側が主導してつながるテレビ電話」というアイデアを発案しました。
身近なツールと既存のアプリを活用して簡単・低コストに導入。
仕組みは非常にシンプルで、客席の呼び出しボタンを押すとスマートフォンのテレビ電話で店員が応答し、画面越しに注文などのやり取りができるというもの。試験的に使い古しのスマートフォンとテレビ電話アプリを利用して店で試してみたところ、簡単に使えるとお客様の反応は上々。料理の説明や苦手な食材を抜いたり、辛みを足したりなどの要望にも細かく対応できることから、自社以外にもニーズがあるのではと思い、ITの知識があった中西氏がシステムを制作しました。
「order face」と名付けたオーダーシステムは、既存のソフトを利用したため、開発費は端末やスタンドなどの機材代程度。客席に呼び出しボタンとテレビ電話アプリをインストールしたスマートフォンを備え付け、Wi-Fi通信ができる環境を整えるだけで済むので、短時間で設置が完了します。販売価格は10端末利用で約60万円、メンテナンス料も機材の保険を含め月1万5000円弱と、タッチパネルに比べ大幅にコストを抑えられるのも特長です。
新型コロナ流行時に感染症対策で注目。
販売を開始した2020年4月は新型コロナの流行で、非接触型という強みがフォーカスされ、IT導入補助金や業務改善助成金が利用できたことから全国50店舗以上に導入されました。新型コロナの5類移行後は契約数が減少したものの、継続している店舗では中西氏が本来目指した業務効率化や人手不足解消に活用されています。
「席数が多い店や急な階段を上り下りする構造の店にはスタッフの負担軽減に活かされていますし、混雑している時間帯だけ『order face』に切り替えて使う方法も用いられています」と中西氏。同社では人の動きや物の配置などのオペレーション改善のアドバイスも行っており、「どんなシステムも導入すれば魔法のように変わるわけではなく、改善を目指して使いこなしていくことが大切」と語ります。
今後の展望
「order face」は単体での利用はもちろん、機能をプラスしたり別のシステムに紐づけたり、応用の幅が広いのも特徴です。ペットや高齢者の見守り、無人販売所の防犯対策など、幅広いニーズを開拓していくことが可能ですし、特許を取得しているので知的財産としても活用できます。現在はモバイルオーダーシステムへの展開を考えており、約3割いるといわれる未利用層に対する人員対応の負担軽減に役立てていきます。(取材者:代表取締役 中西佑介氏)
取り組みにかかったコスト
コスト | 約10万円 |
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相談先
相談先 | 自社開発 |
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会社概要
社名 | 有限会社 秀徳 |
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代表者 | 中西佑介 |
所在地 | 三方上中郡若狭町鳥浜29-32-5 |
従業員数 | 20名 |
取扱品目 | 飲食店、地元特産品・自社商品のEC販売、非対面オーダーシステムの販売 |