ポイント
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1自社の業務を効率化しながら、顧客にも高付加価値のサービスを提供
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2システム開発体制を一から整え、企業間取引支援システムを開発
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3顧客周辺の関連企業を取り込み、目指すはインフラ化
脱アナログで、複雑な中国輸入業務をスムーズに
創業時から、中国から商品を仕入れて販売するEC事業者を対象とした輸入代行事業を行っていましたが、手続きの煩雑さや、エクセルで作った発注書等をメールでやりとりする効率の悪さに頭を悩ませていました。
自社の業務を効率化させるとともに、輸入代行業者として販売支援や付加価値のあるサービスを顧客に提供するために開発したのがCiLEL(シーレル)です。受発注管理から決済までをWeb上で完結でき、中国側パートナーの取引状況の見える化や、入金作業の自動化など、顧客にとっても同社にとっても有益なシステムになっています。2017(平成29)年のリリース時は輸入代行プラットフォームの先駈けとなりました。
今では類似のサービスも多数存在していますが、決済機能に特にこだわり、スムーズな取引を可能にしたCiLELは、2023年2月現在約5,500社に導入されています。
CiLELのノウハウを生かして誕生したURetail®︎
中国との煩雑な商取引のデジタル化に成功した強みを生かし、2019年からは日本国内の企業間取引のDX化を支援するシステムURetail®︎(ウレテル)の開発に取り組んでいます。受発注管理や請求書発行といった基本的な機能のほか、在庫管理や入金管理機能なども搭載予定です。「業界ごとに独特の商習慣があり、思うように開発が進まないこともありました。DX化と同時に、地方の中小企業に多い古い商習慣の見直しも提案していかなければ」と三上社長は話します。
開発はベトナムのベンダーに依頼していましたが、2022年から内製化に取り組み、現在はベンダーと自社のハイブリッド体制で開発を進めています。人材補強だけでなく、社員を教育してエンジニアに育て、一から開発体制を整えました。社長自らもプログラミングを学んでエンジニアとして携わり、開発現場への理解を深めています。開発期間は約4年で現在も進行中。正式リリースを前に、2023年4月にベータ版をリリース予定です。
顧客だけでなく、その関連企業のDX化も支援
URetail®︎を導入した顧客は、販売先や仕入先を本システムに招待することができます。招待された取引企業はシステムを無料で利用できるので、サプライチェーン全体の業務をまとめて効率化できるのが大きな特長です。クラウドサービスなので招待された側もブラウザからログインするだけで簡単に利用でき、商品マスターの共有や取引先ごとの掛け率の設定など細かな対応も可能です。
「関連企業の担当者がURetail®︎を使ってそのメリットを感じられれば、そこから加速度的に導入が広がり、いずれ受発注の一元管理が可能になります。将来的には企業間取引のインフラとなるようなサービスへと成長させたいと考えています」と三上社長は意気込みを語ります。
今後の展望
社内業務のDX化に引き続き取り組みながら、様々な企業のDX化支援にさらに注力していきます。URetail®︎はUX※1やUI※2の設計にとことんこだわっているので、初めて触った人でも感覚的に使えるようなシステムへと今後ブラッシュアップを重ねていく予定です。
※1 UX:ユーザーエクスペリエンス。サービスを通してユーザーが得られる体験。
※2 UI:ユーザーインターフェース。画面などのユーザーとサービスをつなぐもの。
取組みにかかったコスト
コスト | 1億円弱(URetail®︎開発費として) |
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会社概要
社名 | ファーストトレード株式会社 |
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代表者 | 代表取締役社長 三上 良平 |
所在地 | 福井県あわら市大溝3-3-18 |
従業員数 | 30名 |
業種 | 情報・通信業 |
取扱品目 | 越境EC支援システム、企業間取引支援システムの開発、運営 |