DXで道路インフラ点検の付加価値を向上

1970年設立のジビル調査設計株式会社は、道路・橋梁などの設計・点検、地質調査などを軸に事業展開する企業。同社はかねてより点検業務のDXに注力し、作業の効率化・省力化とともに、付加価値の向上を実現しています。取組みの背景と成果を、営業部長の西川明広氏、企画開発室の横田喜数氏に伺いました。
取締役 営業部長 西川 明広 氏
企画開発室 室長代理 横田 喜数 氏

現場の困り事を基に開発 点検義務化も追い風に

道路や橋梁などの点検業務は一般的に、高所作業車や橋梁点検車などの機材を使ったり、ロープで作業員を懸垂したりして行われます。しかし、現場の状況は多岐にわたっており、これらの方法を駆使しても損傷を十分に発見できないケースがあるといいます。

そこで同社が開発したのが、橋梁点検支援ロボット『視る・診る』。台車、ロッドやアームを介して接続されたカメラなどで構成され、点検車が使えない環境での近接目視点検を支援します。

「『視る・診る』が誕生したのは、2012年の笹子トンネル天井崩落事故を機に、橋やトンネルの点検が義務化された時期。トラス橋や検査路のない橋梁でも使えることから、「全国500カ所以上で点検実績を積んでいます」と西川氏は話します。

2022年には、台車幅50センチの『視る・診るミニ』を開発。大手電機メーカー製の点検カメラとのコラボレーションによる機能向上を実現しています。県の令和3年度『新事業チャレンジステップアップ事業補助金』による機材で、『視る・診る』より軽量・コンパクトな仕様であるため、これまで入ることが難しかった人道橋や、車道に隣接する側道橋などでの点検支援を可能にしました。

3D画像生成システムで点検・補修の工期を短縮

しかし、世の中には『ミニ』でも点検できない橋が存在します。点検義務対象は橋長2メートル以上の橋で、生活道路の橋、桁下空間の狭い橋なども含まれるからです。『ミニ』ですら入れない環境では人力に頼らざるを得ず、橋の下をはうように点検する必要がありました。

その苦労を解消すべく製作したのが『マルチカメラシステム(MCS)』です。リモート制御の台車に小型スチールカメラ10台を載せ、撮影した写真をつなぎ合わせて3D画像を生成するシステムで、クローラユニットメーカーの台車との組合わせにより、狭隘な空間でも安定した操作が可能な装置になっています。

3D画像は0.1ミリ幅のクラックも発見できる精度で生成されます。横田氏は「3D画像を作ってしまえば、点検、補修設計構想、図面作成などを並行して進められます。画像を共有してリモート会議を行うこともでき、技術者・発注者・第三者が今までと違う見地から議論できます」とメリットを強調します。

一連の技術は国土交通省『新技術情報提供システム(NETIS)』『点検支援技術性能カタログ』にも登録されています。両氏はインフラ点検分野の困り事に応えた取り組みを「スマートインフラメンテナンス」と称した上で、「ロボットやカメラなどの性能向上があって、これらの機材が実現しました。これからも技術の進化にアンテナを張りながら、国が進めるDXに追随していきたいです」とまとめました。

会社概要

事業所名

ジビル調査設計株式会社

所在地

福井市大願寺2丁目5番18号

代表者

代表取締役 中島正夫

資本金

2200万円

事業内容

建設コンサルタント・測量業・地質調査業・補償コンサルタント・一級建築士事務所

従業員数

59名

TEL

0776-23-7155

HP

https://www.zivil.co.jp/

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