課題を一つ一つ解決しながらDXを推進
デジタル化に取り組む前には、次のような課題を抱えていた。①勤怠管理にかかる手間、②各自のスケジュール共有が不十分、③利用者情報の記録・伝達にかかる手間とミスの多発、④夜間見守りの体制、⑤介助時の身体的負担
そこで、これらの課題を解決するために、デジタル技術を次のように活用して、5年かけて一つずつ解決した。
・勤怠管理システム【ジョブカン】による勤怠管理業務の効率化
・Googleカレンダーやチャットワークを活用してスケジュールなどの情報を共有
・タブレット入力システム【ワイズマンすぐろく】で利用者情報の確実な記録と伝達
・見守りロボット【シルエット見守りセンサ】による夜間見守りの体制強化
・移動・移乗ロボット【Hug(ハグ)】による負担軽減
職員の意識改革も進めながらDXを推進
当社がデジタル化を始めるきっかけは、デジタル化という時代の流れが介護業界にもきていることを感じた代表の危機感にある。しかし、デジタルのことは全く分からないため、自ら研修に参加して情報収集を始めた。研修で学んだことを社内に展開するというやり方だったが、職員の反応や理解が薄いだけでなく、働く環境が変化することへの抵抗も発生した。
そこで、3年前に「DX推進チーム」を作り、一緒に研修等に参加するようにした。研修で得た知識は、DX推進チーム以外の職員へも共有することで職員の意識が変わり始め、デジタル化がスムーズに進むようになっている。
介護記録の作成やスケジュール共有などの事務作業が40%減少し、記載ミスなども減るなどの成果が出ている。特に、職員の心身負担が軽減されたことが大きな成果である。
商工支援機関を活用してDXを推進
当社はデジタル化を推進するにあたり、商工支援機関の支援事業や補助金などの公的支援を上手に活用している。
ふくいDXオープンラボの「DX専門家派遣事業」は、2019年、2021年、2023年と利用しており、様々な課題解決に向けて各専門家よりアドバイスを得ている。派遣された専門家から、目指す姿をヒヤリングされることで課題が明確になり、解決策の提案などを受けたことがデジタル化推進のもととなっている。
また、上記した研修も、ふくいDXオープンラボやポリテクセンターといった公的機関の研修を受講している。
更に、社会保険労務士や助成金を提供しているサイト、坂井市のLINEなど、補助金に関する情報収集を積極的に行って、有効な補助金や助成金を活用している。
ITコーディネータから一言
代表が目指す事業の理想的な姿を目標に、そこに向かうための課題を明確にして一歩一歩デジタル化を進めている事例である。
「小規模事業者白書2023」の中に、デジタル化が進まない要因として、①費用の負担が大きい、②デジタル化を推進する人材がいない、③どのように推進していいか分からない、という項目が上位に挙げられている。当社は、こうした要因を公的機関の支援で解決しながらDXを推進している。このことは、比較的規模の小さな企業がDXを進めるお手本と言え、参考にしていただきたい。
取り組みにかかったコスト
コスト | 約1千万円 |
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会社概要
事業所名 | 有限会社ダイケイ |
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所在地 | 福井県坂井市丸岡町山口59-13 |
代表者 | 代表取締役 大蔵 富宏 |
従業員数 | 45名 |
事業内容・会社紹介 | 通所介護(要介護1~5) |