お客様の利便性向上と働き方改革をデジタルで両立

自動車補修部品を修理工場に卸販売する事業は、受注受付業務、膨大な部品データから検索して発注する業務、顧客への納品業務にとスキルが多岐に渡り、シフト等も組み難く勤務日数が多いという課題を抱えている。
時代の流れから、サービス形態は維持しながら年間休日を増やして社員が活き活きと働く環境を作ろうと、デジタル技術を活用した業務改革に取り組み始めた。

電話の受電記録を分析して仕事量を分析

月曜日から土曜日まで顧客対応することは当社の最大の強みであるため、営業日を変えることなく勤務日数を減らすためには、仕事量と出社する社員数をバランスさせる必要があると考え、電話の受電記録を分析した(ほとんど電話注文のため)。
その結果、4月から8月の期間が比較的受注量が少ないことや、月曜日・金曜日が他の曜日に比べて受注量が少ないことが判明した。
そこで、以前より行っていた土曜日の出勤形態(社員の60%だけ出社)を、4月から8月の期間の月曜日や金曜日にも適用することで、年間休日を増やすことにした。

顧客からの電話での問い合わせに対応

デジタルで分業による業務改革を行い省人化

月曜日・金曜日が他の曜日に比べて受注量が少ないと言っても、60%の社員数で仕事をこなすためには、仕事の生産性を向上させなければ労働強化になってしまう。
自動車部品はメーカー・車種毎に異なるものが多く、修理工場からの情報をもとに必要な部品を特定するには経験を積む必要がある。そのため、社員間で生産性にムラがあることは以前より分かっていたので、これを機に、部品を特定する経験が浅くても受注受付ができるような方法に変更し、ある程度の経験が必要な検索発注業務と受注受付業務を分業することにした。
分業によって顧客へのスピード感が失われないように、デジタル技術を活用して、電話対応内容をスムーズに共有できるようにした。具体的には、電話対応メモをデジタル化して共有フォルダに保存し、LINEを使って後工程の検索発注部門に流すようにした。
また、リモートアクセスソフトを使って、他営業所で受け付けた受注を本社の検索発注部門でも対応できるようにすることで、会社全体の生産性を向上させることにした。

電話対応の内容はメモとしてデジタル化され共有

社内委員会制度がDX推進をスムーズに

当社は15年ほど前から社内委員会制度を行っている。経営方針に示された経営課題を解決するために、社員を委員会の委員に任命して、社員自ら課題解決に取り組むというものである。
今回のDX推進についても委員会を作り、委員を中心にDXを進めている。現場の知恵を取り入れながら、試行錯誤を繰り返して、自分たちにとって最善なDXを実現しようとしている。
取り組み始めたばかりで成果が出るのはこれからになるが、社員を巻き込んでの取り組みであるため、成果がでるのは間違いないと思われる。

社内委員会の様子

ITコーディネータから一言

DXは単なるデジタル化ではなく、顧客価値の向上や組織風土の変革をデジタル技術で実現することである。そういう意味で、当社の取り組みは非常に参考になるものである。
当社の顧客価値であるスピード対応を損なうことなく年間休日数を増やすことを目標に、社員の意識を変えようとしている。
一方、DX推進に必要な要素として、経営者のリーダーシップと社員の参画意識がある。これについても、当社は揃っており、DXの成果ことは間違いないと考えられる

お話をお伺いした方

代表取締役 東谷 守 氏

取り組みにかかったコスト

コスト 初期(導入)費用:約30万円
運用(継続)費用:約2万円/月

会社概要

事業所名

株式会社 東谷自動車商会

代表者

代表取締役 東谷 守

所在地

福井県福井市文京2丁目6-29

従業員数

38名

事業内容

自動車補修部品の卸売

受賞歴

・パートナーシップ構築宣言
・健康経営優良法人2024
・連携事業継続力強化計画
・企業型DC
・福井SDGsパートナー

その他の事例集

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