小さなステップを積み重ね、社内業務をDX化

ポイント

  • 1省力化ミーティングを行い、社内の声を反映したデジタル化を推進

  • 2自社でシステム構築が可能な部分は社内でプログラムを開発

  • 3オンライン通販サイトを既製品用とオーダー専用に分け、利便性アップ

煩雑な社内業務を改善する鍵は「デジタル化」

 紙ベースで業務を行っていた頃は、事務作業が煩雑で、事務所と現場の間では伝票や情報の伝達ミスが度々起きていました。「デジタル化が多くの業務課題の解決につながるのではないか」。そう考えた宮元社長は、数年前から社員と共に社内業務のDX化に着手。まずは総務系の業務からペーパーレス化・デジタル化に取り組みました。「社外を巻き込むと説明や調整が必要になって大がかりになるため、社内業務からできる範囲で始めようと考えました」と振り返ります。

 また、同社では包装資材のオンライン販売も行っていますが、規格品とオーダー品を同じサイトで扱っていたため、業務の動線や情報の管理が複雑になっていました。「特に版の管理が大変で、お客様への保管期限のお知らせメールも手動で行っていました」と語る担当スタッフ。受注が増えるほど事務作業の負担が大きくなっていたため、こちらは業者に依頼してオーダー品専用のサイトを立ち上げ、お客様のニーズに合わせた効率的な運営を目指しました。

省力化ミーティングを設け、社員主導でデジタル化を推進

 社内業務は、勤怠管理の時間集計の効率化を目指し、ICカード社員証による入退出管理とタイムカードのデジタル化からスタート。製造部では指示書などの書類をすべてペーパーレス化し、作業報告はタブレットに入力してシステム上で進捗を一元管理することで生産性の向上を図りました。

 さらに、可能なところは企業の業務を支援するオンラインのサブスクサービスを導入し、自社システムが必要な部分は、デジタル人材として雇用されたベトナム人社員が開発。課題が出るごとに各部署の担当者による省力化ミーティングを開き、社員が中心となって改善を進めました。

 オンラインサイトには資材や色、版のサイズなどを選択すると自動で見積もりが表示されるシステムを組み込み、注文までの利便性を向上。管理面でも版の保管期限到来前に自動でお知らせメールを送るなどの対策を行い、サービスの質を落とすことなく業務の負担を削減する運用を実現しました。

生産性の向上や売上の拡大に加え、企業文化も進化

 以前は忙しい時期になると遅くまで残業していましたが、デジタル化以降は繁忙期に1人あたり日4時間ほどの残業時間が削減でき、1時間以上残業する社員の姿はほぼなくなりました。製造部も受注から製造、発送までの工程が見える化され、伝票の送り忘れなどのヒューマンエラーがなくなり、生産効率が23割向上したそうです。

 オンラインサイトはオーダー専門サイト「刷りエール」の受注が伸び、サイトが稼働して5期目となる2025年度の売上は、第1期の約3.7倍に成長しました。「刷りエール」はリピーター率も4割にのぼることから、顧客満足度の大きさが伝わります。

 社内では当初、DX化に戸惑う声もありましたが、スマホが普及しデジタルツールが身近になっていたこともあり、すぐに慣れて便利さを実感するようになったそう。今では「もっとこうしてほしい」という要望が出るようになり、宮元社長は業務改善を推進する意識が高まったことも、ひとつの成果だと受け止めています。

DX化は目的ではなく手段。積み重ねが大きな変化に

 「大きな目標は生産性を上げることでしたが、最初から道筋が見えていたわけではありません。ボトルネックになっている部分を特定し、できるところからデジタル技術で解決する小さなステップを積み重ねたことが、結果としてDX化につながりました」と語る宮元社長。働きやすくするためにデジタル技術を活用するという視点で、身近な課題から少しずつ改善し続けたことが、生産性向上と社内文化の醸成につながったと捉えています。

 近年では、イントラネットとして活用できる社内ポータルサイトを構築しており、パソコンの入れ替えを機にホーム画面に固定。社内連絡や業務マニュアルなどの共有のほか、各種申請などの窓口としても活躍しています。こちらも社内の声を聞きながら、さらに機能を充実していく考えです。

 オンラインサイトも印刷データ作成のニーズにも目を向け、Canvaなどのオンラインデザインツールとの連携や、お客様とデザイナーをマッチングするプラットフォームづくりなど、サービスの拡充を視野に入れています。

専門家(ITコーディネータ)から一言

現場発信による改善を小さく始めて段階的に拡大、成果を上げている。勤怠管理の電子化やタブレット端末での製造指示、社内ポータルでの情報共有など、省力化ミーティングで部門横断的に改善に取組み、生産性3割向上を実現。自社開発とSaaSを組み合わせ、補助金活用で投資効率も最適化。また、EC事業も構造改革が奏功し、着実に売上を伸ばしている。改善効果の定量指標化が課題だが、身の丈に合った実践的DXとして高く評価できる。

取り組みにかかったコスト

コスト

累計約1000万円

相談先

相談先・活用施策

IT導入補助金、ものづくり補助金(省力化枠)

お話を伺った方(役職・氏名)

お話を伺った方(役職・氏名)

右から宮元社長、ホァン開発・業務部係長、()ミヤゲンオンライン金森さん・山口さん、島田開発・業務部係長、長﨑製造部長

 

 

会社概要

事業者名

株式会社ミヤゲン

代表者

宮元武利

所在地(住所)

福井県敦賀市山泉7-15-3

従業員数

34

事業内容

包装資材の製造販売

会社紹介・取扱品目・受賞歴など:
ポリ袋・レジ袋・ゴミ袋などの包装資材を「作って届けて終わりではなく、いかに商品やサービスの一部としてお客様のビジネスに役立てるか」を追求。オリジナル商品の開発も手がけており、グッドデザイン賞を多数受賞している。

その他の事例集

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