ネット受注の似顔絵作画をマーカーからiPadに

オーダー似顔絵制作をネットショップを通じて受注する、福井市の『スタジオロット』。同社が取り組んだのは「イラスト作画のDX」です。きっかけとなったのは、新型コロナ、そして主軸としていた市場の変化です。作画プロセス転換の経緯について代表取締役の東本一哉氏に伺いました。

直感的に作画できるiPadが後押しに

2017年設立当初よりネットショップを設け、全国から似顔絵の注文を受け付ける同社。現在は記念日などの贈答品用途が軸で、全体の9割が県外からの注文です。

「当初はネットで似顔絵制作を受注するはしりのような時代。結婚式のウェルカムボードの似顔絵制作では長い間ネット検索1位でした」と東本氏は振り返ります。

しかし、2020年初頭からの新型コロナ拡大は同社にも影を落とします。売上構成比の約半数を占めていたブライダル向けオーダーが感染拡大により激減しました。「それ以前からブライダル需要は下降気味だったのですが、単価が高く業態転換に踏み切れずにいました」と東本氏は言います。

そこで取り組んだのが作画のDXでした。コロナ関連の支援金などを活用し、マーカーを使った作画からiPadでのデジタル作画へと作業方法を転換したのです。

「デジタル作画には以前から関心があり、他社製のタブレットで作画を試したことがありました。しかし直感的に作画ができず、デジタル作画は難しいと感じていたのです」と東本氏は話します。

その難しさを解消してくれたのがiPad Proでした。アップルペンシルとの組み合わせで、東本氏が言う「直感的な作画」ができるようになりました。アプリの機能も豊富で、デジタルとアナログの見分けがつかないくらいのレベルになったのだそうです。

デジタル作画により似顔絵の用途広がる

デジタル作画では似顔絵の構成要素を複数レイヤーに分けるため、修正作業もレイヤー単位で行うことができます。依頼主のチェックもメールで完結するため、やりとりにかかる時間も短縮されました。

この頃になるとネット受注をうたう競合が増加し、東本氏は専門性を打ち出すショップリニューアルも行いました。インスタグラムに「結婚式」「贈答品」「キャラクター」と3つのアカウントを設け、各アカウントからのランディングページを個別に設定。これまでの成功体験を基に、独学でウェブ集客の改善を重ねています。

イベントなどリアルな場へのブース出展にも変化が見えます。増えたのは遠方の会場へのリモート出展。県外からの依頼事例では、県外と福井の会場をビデオ会議で直結。イベント来訪客を画面越しに見ながら作画し、iPadでの制作過程を画面共有するなどして好評を得たそうです。

一連の取り組みを振り返り、「コロナは悪いことばかりでもなかった」と話す東本氏。デジタル作画への転換で平面以外にも展開の幅が広がったそうで、キャラクターを使った雑貨分野などへの進出も視野に入れます。

会社概要

事業所名

株式会社スタジオロット

所在地

福井市栄町12-1

代表者

東本一哉氏

資本金

100万円

事業内容

似顔絵の制作、パフォーマーの派遣

従業員数

1

TEL

0776-89-1056

HP

https://studio-lot.net/

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