顧客の声を基に構築した「自社版ウィキペディア」
同社のWebサイト開設は2000年。ISO9001を認証取得した際の広報ツールとして、新聞広告代わりに公開したのが最初でした。「当時は1日1件の問い合わせがあればよい方。半年後、10万円の案件が初めて入ったのを今でも覚えています」と振り返ります。
2003年には、個人向けめっきのサイト『必殺めっき職人』を立ち上げ、メルマガ配信と組み合わせてBtoC市場の開拓を始めます。引き合いの大半は、車やバイクのパーツへのめっき案件。めっきの定着具合を確認するために材料を溶かす必要もあり、5万円の案件で30万円の弁償をすることもあったそうですが、利用者から届く喜びの声が社員のモチベーション向上につながりました。
その後3年ほどして、サイトからの受注を法人主体に転換。BtoCサービスがメディアで多数紹介されていたこともあり法人からの問い合わせも右肩上がりで増えました。検索エンジン最適化(SEO)に意識が向き始めたのもこの頃でした。
以来、力を入れたのが、サイトのキラーコンテンツであるQ&A集です。サイト運営を通じて寄せられた「よくある質問」を整理し約5,500件の項目に分類。「ウィキペディア」のようなQ&A専用に管理や編集ができる仕組みをシステムの裏側に設け、コンテンツの追加・編集が素早くできる体制を整えました。
問い合わせ等はメール共有システムで担当が、漏れなく、迅速に
同社はQ&A集を、検索からのアクセスを意識したランディングページ※と位置付け、お問い合わせ等のアクションにつながるように改善を行っています。改善は、SEOに詳しい専門家やウェブ制作会社との協働体制で3年以上にわたって続いています。改善箇所は、ページ毎のアクセス数や、マウスの動きからページの閲覧箇所を色の濃淡で表示するヒートマップなど、データをもとに決定します。改善チームは、ビジネスチャットやファイル共有サービスといったコミュニケーションツールを駆使して、密に連絡を取り合い迅速に改善を行います。
問い合わせについても、メール、電話、チャット、LINEなど複数のチャンネルを用意。問い合わせ対応履歴は「メールワイズ」というメール共有システムで一元管理し、社員間で共有できる仕組みも整えました。問い合わせフォームの「貴社名」欄を「貴社名/大学名」と変えて学術機関からの受注向上につなげるなど、ここでも細かな改善を重ねています。
DXという言葉が一般化する前から社内ICT環境整備の旗振り役となってきた清水氏。この3年ほどはインスタグラムなどSNSでの情報発信にも力を注いでいます。これまで導入したツールは清水氏の目利きによるもので、今後、電話問い合わせ対応の精度を高めるツールを導入するなどDX推進を加速する考えを持っています。
※ランディングページ:検索結果や広告などを経由してユーザーが最初に訪れるWEBページ。訪れたユーザーに、お問い合わせなどのアクションを促すように制作されることが多い、「LP」とも略される。
会社概要
事業所名 | 三和メッキ工業株式会社 |
---|---|
所在地 | 福井市大瀬町5-30-1 |
代表者 | 清水栄次氏 |
資本金 | 1000万円 |
事業内容 | メッキ加工、金属の表面処理加工 |
従業員数 | 35名 |
TEL | 0776-23-1639 |
HP |