ポイント
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1主力の通信インフラ事業のケーブル敷設作業をドローンで省力化
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2ドローンの利点を、農薬散布など地域農業の課題解決に応用
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3機体販売やスクール開設で、普及や利用促進へのサポートも事業化
大人数で一日がかりの作業が、1人が数分の手間で完了
石森電通システム株式会社は1997年の創業以来、光ケーブル敷設を中心とした通信インフラ事業を展開しています。公的機関や法人などが用いる電力系の通信インフラでは、谷の深い山間地や大野市和泉地区の湖を越える区間での工事も多く、そうした現場での架線・延線作業は現場で多くの作業員が長時間、大きな手間を要していました。
その省力化のため2020年にものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を活用し、「高性能ドローン活用による山間部通信ケーブル敷設工事の高度化実現」事業としてドローンを導入。これまでは険しい場所に人が立ち入り、5~8人が手作業で1日を要した作業が、ドローンを操縦する1人が数分で行えるようになり、大幅な効率化・省力化を図ることができました。
ドローン活用の大きなメリットを、地域の困りごと解決に
社内にドローンを扱える人材ができたことに加え、ドローン事業を手がける滋賀県の商社との繋がりができたことを足がかりに、地域の課題解決にも取り組もうと2022年春に「ドローン事業部」を立ち上げました。社長と社員の計3名が、ドローンスクールの講師資格や農業用ドローン教習の資格、整備資格を取得。同事業部では新規分野として、スマート農業支援などの請負事業、ドローンスクールの運営、国内大手メーカー製ドローンの販売代理店などを展開しています。
地域の中の高いニーズとして、農薬散布の請負や、農薬散布用ドローンの販売と教習がある。ドローンによる農薬散布は大規模な農業事業者には普及が進んでいますが、小規模な農家ではほとんど導入されていません。事業部の担当者は農薬散布作業中の農業事業者へ飛び込みで営業に赴き、目の前でドローンを飛ばして効率化・省力化の大きさを実演しています。効果を目の前で体感できる営業の効果は大きく、事業初年度(12月現在)から農業用ドローン10台を販売し、その担当者へライセンス取得のための教習を行う実績を上げました。
作業請負で、地道にドローンのメリットを感じてもらう
「ドローンという機器の有用性は広く認知されていますが、コストなどで導入に二の足を踏んでいる事業者が多い」と石森代表は話します。そのため、当面は農薬散布などの作業請負から、コスト面でも実用性があることを広めていきます。
また、行政が推進するスマート農業に資する事業でもあり、2022年には県の発注を受けて大野市内のサトイモ畑で農薬散布を実施し、収穫物の品質向上に貢献しました。ドローン事業部ではこのほか、遠隔地・山間地への資材運搬や、太陽光発電・風力発電・鉄塔などの空撮点検など新規事業の開拓も目指しています。
今後の展望
ドローンの活用は幅広い分野で進んでおり、新分野への参入にはそれぞれの先行事業者との競合が激しいですが、一方で県内の中小・小規模事業者での普及は進んでいないため、まずは作業請負でドローンのメリットを感じてもらい、機体の販売から教習まで、自社で完結した支援ができることを強みとして普及を進めたいと思っています。また、既に導入済みの大規模な農業事業者で使用している農業用ドローンは、数年後に機体の更新時期を迎えるため更新需要の取り込みも図っていきたいと考えています。
取組みにかかったコスト
コスト | 200万円 |
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相談先・業務委託先
相談先 | 東洋エンジニア株式会社 |
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会社概要
事業所名 | 石森電通システム株式会社 |
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代表者 | 代表取締役 石森 満佳 |
所在地 | 福井県大野市中挟1丁目518 |
従業員数 | 15人 |
業種 | 電気通信工事業 |
取扱品目 | 通信インフラ事業、ドローン事業部、雪国科学ふくい事業部 |
創業 | 1997(平成9)年2月 |