ポイント
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1バーコードによる部品管理をRFIDに“バージョンアップ”
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2部品管理のための読み取り時間が数十分の一に
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3導入前にはタグの読み込みなど環境設定に十二分なテストと準備
部品管理をバーコードからRFIDへ転換
鯖江精機株式会社は、合理化、省人化する産業用の自動機械をワンストップで提供しています。顧客の要望や課題に対応したオリジナルの専用機械を自社設計し、高精度なモノづくりを強みに業績を伸ばしています。
大型の機械になると用いる部品点数は2万点以上に上ります。これまで部品の調達や工程管理には自社で構築した「REPRO(リプロ)」というシステムを活用し、各工程では部品のバーコードを読み取って管理していました。機械の組立ては本社と鯖江市内の2工場の計3拠点で行われており、複数拠点での製造では部品の所在の把握が不可欠ですが、受注拡大に伴う取扱い部品点数の増加で、従来の方式での対応が困難になってきました。
そこでバーコードによる部品管理業務から、RFIDタグを用いて一括で部品や工程を管理するシステムへの転換を図りました。
瞬時に部品データを読み取り、所在管理が大幅に効率化
約6か月かかった導入準備の半分近くを費やしたのが、安定してタグを読み取り、データを送信できるハード面の整備です。金属製の台車でも使用できるタグの選定、ゲートの設置位置や電波強度の設定、無線アクセスポイントの配置などのテストを厳密に重ねました。
システムや生産ラインなどの変更はなく、現場ではバーコードの作業がRFIDタグに置き換わっただけです。運用開始から約4年間、問題なく稼働しています。
今後、工程管理などにRFIDタグ導入を検討している事業者に対しては、「読み取りや環境設定の難しさといった、RFIDタグの特性をよく知った上で設備を整えることが大切です」とアドバイスしています。
今後の展望
より高精度、高品質な製品を求める顧客ニーズに応えるため、使用する精密部品の多くは自社でマザーマシンなどを用いて内製しています。この部品加工部門は自社の技術力の基盤となる分野ですが、現在も工程管理には旧来通りのバーコードシステムを用いています。今後、同部門にもRFIDタグを導入することで、組立て工場と同様の作業の効率化に加え、バーコードより正確に作業時間や進捗を把握できるようにしたい。そうして、さらに品質と生産性を高める工程管理への展開を目指します。
取組みにかかったコスト
コスト | 2,776,400円(総額) ※人件費除く |
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相談先・業務委託先
相談先 | 福井県 ※IoT・AI・ロボット等導入促進事業補助金を活用 (補助1,262,000円) |
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会社概要
社名 | 鯖江精機株式会社 |
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代表者 | 代表取締役社長 浅井 滋 |
所在地 | 越前町気比庄22-8 |
従業員数 | グループ連結 150名 |
業種 | 合理化・省人化・自動機械の設計製作 |
取扱品目 | 一般産業用機械 |
設立 | 1963年8月(昭和38年) |
売上高 | グループ連結 3,530百万円(2022年2月決算) |