製造工程の見える化で「One Team」体制生産を目指す

同社は森林資源の有効活用と豊かな住環境の実現を目指しています。納期対応のための残業や休日出勤の恒常化を改善するため、現有設備の範囲で生産性を向上させることが課題です。
そこで、DXを活用した工程の見える化を行い、工場の生産状況を全社員で共有して、見込生産や作業の平準化を行うことにしました。工場の一体感を高め、「One Team」体制で生産することを目指しています。

事業成長は企業文化の変化から

同社が開発した「デザインウッド」の売れ行きが好調で、事業を拡大していくためには限られた人員・設備で効率的に生産することが必要だと考えています。しかし、生産計画の全貌は工場長しか把握しておらず、担当者はその日割り当てられた作業をこなすだけだったため、自発的に作業準備をすることや作業を効率的にするためのアイデアを考える文化がありませんでした。

社長は、社員からのアイデアや向上心が生まれる文化を作り上げることが、事業を拡大するためには必須であると考えており、最初にデジタル化による情報の共有に取り組むことで、社員の気づきが生まれる環境を整えることを目指しています。

製造工程の見える化

工場長しか把握していなかった生産計画をデジタル化/見える化することから始めました。

生産計画を見える化するためには、日々の製造工程をガントチャートで表現することが最適であること、これまで手書きで作成していた作業指示書には同社固有の作業指示情報があることなどから、オリジナルソフトを開発する必要があり、低コストで開発できるノーコードツールの「kintone」を利用することにしました。視覚的にわかりやすい工程情報入力が可能となり、導入のハードルを下げることができました。

導入後は、数日分の計画や担当以外の工程も把握できる状態になりました。また、kintoneはクラウドサービスであるため、どの部門でも工場の生産状況を把握できるようになり、計画的な受注につなげることも可能になっています。

「One Team」体制を目指して

製造工程の見える化により工場の生産状況を把握できるようになったことで、納期短縮のためのアイデアや気づきが生まれると考えています。また、kintoneを採用したことで容易にシステムを改善することができるため、今後は実績管理や在庫管理のデジタル化にも取り組む予定です。そして、工場全体で生産性が向上するように取り組んでいく予定です。

社長は、製造工程の見える化をきっかけに、気づきを促して社員の成長につなげたいと考えています。また製品のどの工程でも担当できる職人のような人材を増やすことで、流動的に人員を配置できる「One Team」体制を構築し、顧客の期待に応えることを目指しています。

ITコーディネータから一言

製造工程の見える化を通じて生産性の向上を目指している事例です。その背景には、企業文化の変革を求める社長の想いがあります。見える化・情報の共有にはデジタル化が不可欠であり、システムが定着しなければ、企業文化の変化は起こらないと社長は考えています。

社長の想いを実現するためには、企業の成熟度の成長に合わせてシステム改修を容易に行えることが必要です。簡単で直感的に利用できるkintoneの採用によりデジタル化が社内に定着して活用されることで、事業の拡大に大きく貢献できると考えています。

お話をお伺いした方

取締役 工場長 瀬戸川 政幸 氏

会社概要

事業所名

中西木材株式会社

所在地

福井県越前市家久町63-11-1

代表者

中西昭雄

従業員数

30人

業種(中分類)

木造建築工事業、製材業

事業内容

・国産杉集成材の製造販売

・物流用木製パレット、梱包資材の製造販売

・県産材を活用した戸建住宅の設計施工

・中大規模木造建築物の施工

・木質バイオマスペレットの製造

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