生産計画と進捗の「見える化」とSalesforce連携
受注業務については、Salesforceの導入で情報の共有化が図れていますが、受注から納品までのリードタイムが短く、引合い段階から生産指示を行っているため、納期・数量など詳細な情報の変更が多く生産指示が追いついていない状況でした。そこで、受注と生産がリアルタイムに情報共有できる仕組みを検討する必要がありました。
同社のお客様は公共工事を請け負った建設土木工事業の方で、工事の進捗に応じて発注されるため、短納期(最短で数日~1週間)での受注がほとんどです。
そのため、週単位で作成している生産計画(Excelで作成)が頻繁に変更になり、担当者には大きな負担となっていました。こうした作業をIT化するため、Salesforceと連携ができる生産管理システムの構築を進めることにしました。
クラウド型DBによるリアルタイム進捗管理・生産指示
これまでは、生産指示、工程負荷や進捗の管理をExcelで行っていました。このため、Salesforceの受注内容が変更されても、担当者が反映させるまでExcelのデータは修正されない状況でした。
そこで、Salesforceのデータとリアルタイムに連携できるデータベースをクラウド上に構築し、このデータベースに蓄積した生産計画や進捗データを使って、そこからExcelで生産指示や実績管理を行う仕組みに変更しました。
これにより、受注と出荷・請求管理を行うSalesforceと生産計画とその工程進捗・実績管理を行う生産管理システムが相互に情報を連携した「見える化」が実現できました。
合わせて、生産計画のノウハウや標準工数などのマスタ化も図ることで生産計画の属人化を防ぎ、人材の育成にもつなげられています。
人材育成と更なる生産性の向上を目指して
当初の目標としていた、社長しかできなかった生産計画の作成をクラウドで「見える化」して、社員にも継承できるようにすることは達成しました。
今後は、このシステムで作業の負荷時間を見てどのように生産計画を改善すればよいかを社員自らが考えるように、人材育成を行っていく予定です。工程別の予定工数と実績工数を利用して分析できるような高度な人材育成を目指しています。
また、Salesforceと生産管理システムとの連携をさらに進化させて、出荷依頼の連携や発注管理なども行えるようにすることで、生産作業全体の効率化が可能になります。引合・見積・受注から出荷までのリードタイム短縮とさらなる生産性向上を目指しています。
ITコーディネータから一言
受注後7~10日という短納期で生産し全国各地に出荷対応を行うには、デジタル化の取組みは必須でした。これまでもSalesforceの導入などデジタル化を部分的に行っていましたが、全体最適の視点では取り組んでいませんでした。
今回の取組みにより、売上が拡大しても短納期を守るための情報の共有、生産計画の調整を常に行えるようになり、全社一体となったデジタル化の第一歩を踏み出せたのではと思います。
今後はこのデータの利活用を人材育成と共に進め、システムの充実を図ることになります。一足飛びではなく、段階的にDXを進めることが成功のカギとなります。
お話をお伺いした方
かかった経費(予算)
コスト | 約600万円(タブレットPCなどの機材含む) |
---|
会社概要
事業所名 | ニホン・ドレン株式会社 |
---|---|
所在地 | 福井市小路町4-12-1 |
代表者 | 代表取締役 内藤 伸平 |
従業員数 | 37人 |
業種(中分類) | 土木工事業 |
事業内容 | 漏水・剥落防止材の製造販売及び施工 |