良い支援者に出会ったことがDXのきっかけに
DXの実現には、身近に相談する人がいることが大事です。県の専門家派遣事業などで出会った専門家の支援を受けたことがDXのきっかけになるケースが多々あります。
同社のシステム開発を牽引してこられた会長は、「2018年度の県による『IoT専門家派遣事業』で支援を受けたITコーディネータと出会い、紹介されたkintone開発支援者との出会いがあったことが非常に大きい」とお話されました。
外部からの情報収集に熱心で、(公財)ふくい産業支援センターの事業を積極的に活用してきたことが、人との出会いのキッカケになっています。以降今日まで、その開発支援者との長い付き合いの中で、一つ一つ現場主導でのDX実現が進行し、社内のデジタル人材も育ってきています。
ムービングターゲット方式でkintoneの機能を拡充
同社がDXに取り組んだ当初の目標は、各作業工程の開始・終了を現場でタブレット端末にタッチ入力することで日報からの転記作業を軽減し、収集したデータによる進捗状況の見える化を図ることでした。
当初の目標が達成されると各部門(製造、経理、営業など)から、使い勝手の改善と次のステップへの要求が出てくるようになり、順次kintoneのアプリを追加しています。
運用して効果を確認しながらカバーする業務領域を広げていく「ムービングターゲット方式」によるkintoneの開発が定着した現在では、タブレット端末上で受注品の加工履歴を参照しながら製造作業を行い、経理部門においては経理システムとの連携により在庫管理業務を事務所で出来るようになっています。
人材は社内で辛抱強く育成し今後の展望へ
kintoneはローコード/ノーコードツールと呼ばれ、プログラミングをしなくても、業務を理解している社内人材が必要なアプリケーションを簡単に作ることが出来ます。
同社では、現場主導でDXを推進できるように、kintone開発の担当者を社内で任命し、辛抱強く育成してきました。前述のkintone開発支援者から指導を受けたりプログラミングスキルを独学で習得するなどの努力もあり、kintoneでの開発スキルを向上させています。
「海外向けに越境ECサイトを構築し、これまで蓄積してきたチタン材の加工ノウハウを海外にPRしていきたい。加工依頼はkintoneで構築したシステムに取り込めるよう、今後もkintoneでの開発を進化させていく予定」と、会長から今後の計画を伺いました。
ITコーディネータから一言
DXとは、デジタル技術を活用して業務のやり方、組織のありよう、社員の意識、会社の風土などを変革して競争力を高めることが目的であり、その実現方法は様々なやり方があります。
同社は「身の丈IoT」からスタートし、kintoneを活用しながら現場主導でDXに向けて取り組んでいる事例です。
また、ITとかデジタル技術については、わからないから担当者に任せているという経営者が多い中、同社は経営者自らが積極的に外部から情報を収集するなどリーダーシップを発揮しています。DXとは経営そのものですから、経営者の大事な役割です。
お話をお伺いした方
かかった経費(予算)
コスト | 約100万円/年 |
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会社概要
事業所名 | 株式会社アルケー |
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所在地 | 福井県福井市今市町19-1-5 |
代表者 | 代表取締役社長 山中 勝允 |
従業員数 | 20名 |
業種(中分類) | 金属製品製造業 |
事業内容 | 部品製造・加工、資材製造・販売、コンサルティング |