DXへの取組みを通じて次世代へのバトンタッチを進める

補助金を利用したIoTシステムの導入をきっかけに、生産管理システムの内製化を図るなど、若い社員のやる気を引き出してDXに取り組んでいます。
「何事も自分たちでやってみよう」という社長の想いが社内に浸透していることが、こうした取組みの成果につながっています。
また、こうした取組みを通じて、次世代への事業承継を円滑に進めようとされています。

IoTパトライトで設備の稼働状況を可視化

県の「IoT・AI等導入促進事業補助金」を利用して「IoTパトライト」を導入したのが、当社のDXの始まりです。

夜間に無人で設備を稼働させていますが、トラブル等で設備が停止すると翌日の生産計画に支障を来すため、設備の稼働状況を簡単に監視できる方法がないかと思案していました。そんなときに、取引先からの紹介でこのシステムに出逢いました。

「IoTパトライト」は、パトライトの信号の変化をデータとしてWi-Fiで収集して、パソコンやスマホの画面に稼働状況を一覧表示するものです。設備が停止した場合やトラブル等の際、社外からもスマホで時間にとらわれることなく稼働状況が確認できます。その結果、設備の稼働率が約60%から約80%に改善しました。

生産管理システムをkintoneで内製化

その後、若い社員を中心に、紙で行っていた生産管理をデジタル化しようという声があがり、業務管理クラウドサービス「kintone」で内製化しました。

「kintone」システムには生産計画や工程毎の実績結果が入力されています。生産計画を確認することで設備の稼働予定が即座に把握でき、注文をいただいたときに納期回答を早くできるようになりました。また、進捗状況が一目で分かるため、納期に間に合うかどうかもすぐに分かるようになり、納期間際にバタバタすることも無くなりました。

生産管理システムの導入をこれまで社長は何回か考えたことがあるそうですが、紙を使った管理に慣れているために踏ん切りがつかなかったようです。今回、若い世代の意見を参考に、またデジタル世代に助けられ、社長自身も「やってみよう!」と取り組み始め、慣れるために日々努力をしているとのことでした。

社員の発案で生まれた商品でB2Cへの挑戦

一方、社員の発案でこれまで培ってきた金属加工技術を利用した「3本爪・4本爪・6本爪の五徳用堀溝のある肉焼き鉄板」を開発したことをきっかけに、「覇鐵(はがね)」ブランドを立ち上げ、アウトドア分野の商品開発および販売への挑戦を始めました。肉焼き鉄板に続き、コンパクトに収納し持ち運び簡単な焚火台、ステンレス製シェラカップなどを開発しています。

これまでのB2B取引とは勝手が違い、B2C取引は慣れないことも多く試行錯誤をしているようですが、クラウドファンディングを利用したテスト販売やECサイトの構築など、若い社員を中心にデジタル技術を活用した販路の開拓に取り組んでいます。

ITコーディネータから一言

DXを成功させるためには、経営者のリーダーシップ、DX推進担当者を中心とした社員全員の取組み、身の丈に応じた使いやすいシステム、の3つが必要と言われています。
この事例は、この3つが揃っており、社長のリーダーシップのもと、若い社員を中心に一歩一歩DXを進めています。

また、DXを通じて次世代へのバトンタッチを図ろうとしていることも特徴です。
DXをどのように進めてよいか悩んでいる企業は、是非参考にしていただきたいと思います。

お話をお伺いした方

代表取締役 辻澤 幸夫 氏

かかった経費(予算)

コスト 約200万円(IoTパトライトのみ)

会社概要

事業所名

大成精工株式会社

所在地

福井県鯖江市石田上町12-1-3

代表者

辻澤 幸夫

従業員数

16名

業種(中分類)

金属製品製造業

事業内容

ワイヤーカット加工で眼鏡以外に医療部品や半導体、自動車関連部品など、さまざまな分野の部品加工を手掛けています。

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