ポイント
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1アナログとデジタルの融合を目指した対話型のシステム
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24カ国語対応でインバウンド対策にも活躍
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3新しい広告媒体として飲食店などへの導入も計画
駅員の案内業務を支援する対話型の応対システム
同社はシルクスクリーン印刷の技術を活かした耐久性の高いサインに定評がある会社で、鉄道駅を中心に豊富な導入実績があります。社長の谷口祥治氏は、急速に進むデジタル化社会への対応を強化し、補助金を活用して薄型ソーラービーコンを内蔵した音声案内型の点字ブロックを試験開発するなど、精力的なチャレンジを行っています。
そんな同社の特許技術や開発姿勢に着目したのが、IoTに力を入れる東京のシステム開発会社「株式会社ACCESS」です。両社は「DXを通して世の中全体の仕組みを変えていきたい」という共通の思いを持ち、タッグを組んで鉄道の駅業務支援を目的とした対話型の応対システムを作り上げました。
AI生成アバターとChatGPTを活用
このシステムは、ユーザーがモニターに話しかけると音声を認識し、ChatGPTが質問内容に対して応答。あらかじめプロンプト(指示)を設定し、担当の駅や支援する業務の内容など、目的に応じた役割を与えられています。システムは日本語プロンプトに対応しているので、設定の追加や変更にも各社で柔軟に行えます。駅員のキャラクターはAIで生成したアバターと音声で作られており、マスコットキャラクターやアニメ、タレント等とのコラボも技術的に可能。自立型のため取り付け工事が不要で、電源と無線通信があればモニターとパソコンを接続するだけで稼働できます。
対話型のシステムにこだわって開発した同社でしたが、2023年11月に出展した鉄道技術展では、興味はあるものの自分から話しかける人が少ないという結果に。そこで顔認証機能を追加し、モニターの前に一定時間立つ人を感知すると、キャラクターからコミュニケーションをとる形に改良しました。言語も英語、中国語、韓国語に対応し、インバウンド対応もできるようになっています。
自社製品のDX化でモノからサービスに価値をシフト
当面の課題は、レスポンスの精度です。展示会では質問の聞き取りや返答、外国語への音声変換のタイムラグを気にする人が多く、同社もAIがネットワークから間違った情報を取得することを防ぐ必要性を実感しています。現在もシステム開発会社と協力して応答の即時性と正確性の品質向上を図っており、2月下旬には改良版が完成する予定です。
サイネージというハードにコンテンツを組み込み、モノを売ることから継続的なサービスへと事業の価値をシフトさせている同社。その開発の根幹にあるのは、「アナログとデジタルの融合」です。「ハードが得意な私たちは、アナログの世界を生きてきた者です。だからこそ、デジタルと融合することで考え方の幅が広がり、DX時代に応用が利くものづくりができると思っています」と語る谷口氏。アナログとデジタル、どちらか一辺倒ではなく、双方の長所を結びつけることで、新しいものづくりの道を切り拓いています。
取り組みにかかったコスト
コスト | 非公開 |
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相談先
相談先 | 株式会社ACCESS、ふくい産業支援センター |
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会社概要
社名 | 株式会社サカイ・シルクスクリーン |
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代表者 | 谷口祥治 |
所在地 | 吉田郡永平寺町松岡室26-3 |
従業員数 | 23名 |
取扱品目 | スクリーン印刷の請負 |